
嗜好の変化
【業平の隠れ家】週4通う、教えたくない「沈黙の酒場」
多い時には週4~5通う店が業平にある。
裏路地とまでは言えないが、人通りも少ない目立たぬ場所。
会社から歩いて7~8分、自宅までの帰り途中にあるものだから、ついつい寄り道してしまう。昨晩もネオンに引き込まれてしまった。
1. 料理人経験者が辿り着いた「答え」
若い時分からつい数年前までは年間300日近くは外食という暮らしを送っていた。
飲食店の経営経験もあるし、調理師免許も所持している。
その私が辿り着いたと言っても過言ではない店がこちら。本音はあまり人に教えたくはない。
お代はどこかで時間が止まっているのではないかと思えるほど安い。
安いのでそこまで高級な食材を扱っていないのは当たり前だが、其れなりに良い素材を使っている。勿論、チェーン店の居酒屋とは比べようもないレベルである。
カウンターに7~8名、奥に個室となる座敷が一つ。私の一回りは上であろう男性二人が厨房を、女性一人がホールを担当する。
2. 飽きさせない「本物」の仕事
まずは刺身、焼鳥、揚げ物と、呑兵衛にとっての必需品が全て揃う。
- 刺身は豊洲
- 焼鳥は炭を使用
- 揚げ物は小まめに油を変えているに違いない
なのでどれも非の打ち所がない。
お通しも毎回違うものが出され、薄目の味付けは一杯目に丁度良い。
3. 酒場の流儀、沈黙の美学
もう一つ、味や価格だけではない、飽きずに通ってしまう理由がこれだと考える。
店のスタッフと客の間の会話がほぼ皆無。注文するときぐらいである。
店の方々は社交性がある方ではないが、ツンケンしている訳でもない。これが数十年続くこの店のルールなのだ。
客同士が会話することもほぼ無く、二人組で入って来た客はひそひそと話す。実に素晴らしく思う。
今日の反省と明日やることを思い巡らし、酒の勢いを借りて強気になり、明日またやってやろうという気持ちになる。
それがいい酒というもの。
4. 馴れ合いを捨てて
昔常連客認定され通っていた店は真逆で、店主やスタッフ、客同士も皆友達。来る客来る客皆知り合い。
そんな環境を嬉しく思い、有名人にでもなったような錯覚に陥っていた時期がある。
当時の店は現存しているところもあれば、潰れってしまったり、移転したりもしている。
その時仲良くなった酒縁仲間達とはもう殆ど付き合いわない。
今顔を出す店は数件しか無い。
店員は寡黙に働き、客との会話は無く、客もただ食べ飲み、一日の疲れを癒す。
歳を取って嗜好が変わったせいなのか、そんな店にしか行かなくなった。
そういえば向島に古くからこういうスタイルを貫く繁盛店があった。
酒も魚も驚くほど安い。それでいて上等なものを出す。
今風で言うとコスパ最強の店ってやつだ。
スタッフを誘って久しぶりに繰り出してみようか。
