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倒産件数

川本 善信

筆者 川本 善信

不動産キャリア20年

親切丁寧に対応します。

株価は過去最高値を更新しているというのに、倒産件数は右肩あがりに増えている。2025年は物価高や人手不足の影響で、中小企業にとっては正念場の年となっている。倒産とは借入や人件費等の支払いが困難となり、経営を継続できない状態に陥ることをいう。経営者が資金繰りを出来ないということは、金融機関だけではなく、親や親戚に友人、何処からも金を引っ張ることが不可能となってしまったことを意味する。
 
2024年の倒産件数は10,070件、前年の8,881件から13.4%増加している。2013年の10,102件以来、11年振りに1万件を超えた。倒産の増加は小規模企業が中心だが、理由は単純で物価高・賃上げ・人手不足が要因となる。インフレによる消費者の購買欲の低下、同業者間での競争の激化により、商品やサービスの売上げが下回り、収益減少となって倒産に追い込まれる。
 
倒産を回避するには常に市場動向を把握し、経営戦略を打ち出せるかが鍵となる。新たな販路の開拓、自社商品・サービスの差別化、コスト削減は当然で、それを怠ると小規模企業に先はない。しかし価格転嫁だけは個人の力量ではどうにもならない。日本の平均賃金が上げればいいだけの話だが、これだけは策が見当たらない。取引先の破綻で売掛金を回収出来ない事態も多発しているらしいが、小規模企業に信用調査や与信管理に気を配る余裕はない。
 
少子高齢化の影響か、多くの企業が人手不足に直面している。特に深刻なのは中小企業で、地方になると更に人材確保が難しくなる。人手不足は既存スタッフへの負担が増加し、他社との競争にも負け、売上減少及び離職率の上昇に繋がる。外国人労働者や高齢者の雇用、業務の自動化・デジタル化を勧める声もあるが、これらを導入し使いこなすスペックは小規模事業者にはない。

新型コロナウイルス感染症の影響を受けた企業を支援するために始まったゼロゼロ融資も返済猶予期間が終了し、日銀の政策金利引き上げで返済額も増加した今日、倒産予備軍とされる会社は想定以上に多いはずである。コロナ以降、突然の閉店を経験した若者は、中小企業や小規模事業者で働くことを不安視し、その多くが大手企業への就職を希望しているという。

私が働く墨田区の押上・錦糸町エリアでも、仕事柄、閉店情報があちこちから耳に入る。閉店後に入居するのは大半が外国人経営のお店だ。ビルやマンションも次々と外国人オーナーに入れ替わっている。小規模事業者はこの先、どのような生き残り対策が残っているのか。うちは立地もいいし社歴も長いから集客には困っていない。とりあえずこれまで以上に顧客に対し丁寧で実直な営業を心掛けようと思っている。